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おおたか静流 2002/07

心地よいバイブレーションを交換した、
沖縄初ライブ。

昨年秋のイベントへの出演で3曲だけを披露してから約8カ月。
おおたか静流の沖縄初ライブが実現してしまった。那覇のリウボウホールとコザのモッズの2カ所。いずれも超満員で、会場には、出演者、観客、両者の濃度の濃い「待ってました感」が充満した。


心の故郷、オキナワ。

初日、リウボウホールの1曲目。おおたかは、一人ステージに立つと、「アメイジング・グレイス」をアカペラで歌い出した。それまでリラックスしていた会場の空気が一瞬にして変わる。舞台と客席のエネルギーが互いに交わるような、心地よい緊張感が生まれた。

喜納昌吉の「花」をカバーして約10年。沖縄出身と思われることも多いという彼女だが、これまで不思議と沖縄でライブの機会は巡って来なかった。
今回のステージからは、初めてとは感じさせないどこか懐かしいような空気が漂っていた。

「多分、押し掛けてもだめで、呼ばれてくるのがいいんですよね。今回は、初めましてというよりは、やっと来れましたっていう感じでした。心はつながってたのかもしれない。 沖縄はいいもの悪いもの、色んなメッセージを放ってると思うんです。私はそれを心の中で感じていて、心の故郷としてつながってるんです。今回、何らかの必要性があって、それを知るための旅だったのかもしれないと思っています」


お喋りは喜びの表現。

今回、おおたかと共に沖縄にやってきたのは、様々なセッションに引っ張りだこのギタリスト鬼怒無月(きどなつき)。
クールで想像力を掻き立てられるギタープレイとは裏腹に、ステージ上での2人のやりとりは、まさにボケとボケ。オチのつかないトークに、客席も引きずり込まれた。

「鬼怒さんは、言うまでもなく素晴らしいギタリストですね。そんなに沢山のライブ一緒にやってるわけじゃないんですけど。ミュージシャンを固定しないのは、単に素晴らしいミュージシャンが多いので、いろんな人とやってみたいんです。
それぞれに美しい裏切りみたいなことがあって、予想できないことが起こるんです。
2日目のモッズで、『ズンドコ節』と『花、太陽、雨』を同時にやりましたけど、あんな発想はなかなか出ないですよ。
それと、私、普段のライブでは、そんなに喋らないんです。歌は腹式呼吸だけど、喋りはそうじゃないから、喋り過ぎると歌が破綻をきたしてしまうんです。
今回、ステージであれだけ喋ったのは、多分、喜びの表現だったんだと思います」(笑)


人と土地のバイブレーション

ライブでは、オリジナルはもちろん、スタンダード曲や歌謡曲のカバー、中国の曲などが様々に変化する声のタッチで歌われた。
2日目、コザのライブで、「花」を歌っていた時、おおたかは、ある種のトランス状態に入ったのだという。

「口ではうまく説明できないんですけど、何の前兆もなく、不思議な感じになるんです。そういうトランス状態になるのは、別にいいことも悪いこともないですね。多分、聴いている人にはわからないと思います。
でも、今回人や土地のバイブレーションをすごく感じましたね。初めての土地ではないような感じがありました。初めてなのに懐かしい感じ…」

彼女が演っている音楽は、かなりアヴァンギャルドな側面の強いものだと思うのだが、その歌と声の力を前にすると、実に普遍的な力を持った音楽として響いてくる。
おそらく誰が聴いても、難しいことをやっている風には聴こえてこないと思う。
でも、それが一番難しいことだと思うのだが。

9月19日には、アルバム「恋文」をリリースするという彼女。次に沖縄を訪れる時は、どんなメンバーを連れてやってくるのだろうか。


インタビュー・文/野田隆司(2002年7月)

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