 |
2005.07 |
ニューヨークのブロードウェイという、世界最高峰のエンターテインメントの殿堂でミュージカルの主役を務める那覇市出身の高良結香。そんな彼女がニューヨークでレコーディングしたCDを手土産に、8月に沖縄へ凱旋。2日間に渡って桜坂劇場でソロライブを行う。
7月上旬、シンディー・ローパーらとのクルージングツアーに出発する直前、メールでのインタビューに答えてもらった。
|
●最初の音楽の記憶を教えてください。
「英語で書かれた子ども用のソングブック『Sing Sing Together』をテープと本と一緒に読みながら歌っていたことです」
●バレエを始めたのは何才の時ですか。
「5才からはじめました」
●最初から好きになれましたか。
「はい。お友達の発表会を見に行ったのですが、みんなが踊っているのを見てすぐに『お母さん、これやりたい』とお願いしました」
●バレエの楽しいところを教えてください。
「芸術的には音楽でもそうなんですけど、自分の夢の世界に入り込めるところ。テクニック的には、基礎がしっかり学べることです」
●プロのバレリーナを目指したのですか。
「プロというよりも、自分自身ずっと楽しく踊っていきたかっただけです」
●バレエに打ち込んでいる頃に聴いていた音楽はどんなものでしたか。
「バレエではやっぱりクラシック音楽なので、クラシックはよく聴いていました。でも、自分の学校はクリスチャンスクールだったので、学校で歌う賛美歌などはいつもまわりにありました。自分で選んで聴いていたのはやっぱりポップミュージックでしたね。日本の曲はもちろん、マドンナにはかなりはまってました」
3才からアメリカンスクールで学び
ダンスを学びにアメリカへ。 |
●アメリカンスクールに通っていたそうですが、そのことは結香さんにとってプラスだったと思いますか。
「そうですね。言葉の面ではプラスになってると思います。それと考え方や価値観も違うので、今考えると、自分の性格に合ってますね。でも、これは今だから言えることで、学校に通ってる時には、『普通の学校に行っていれば、どんなに人生がスムーズになるだろう…』とか、考えていたのを覚えています」
●アメリカに行くことは、いつ頃から考えていましたか。
「3才の頃からオキナワクリスチャンスクールに通っていて、そのままアメリカの大学に行くことに何となくなってました。大学から日本のシステムに切り替えるというのは、遅いですしね」
●アメリカの大学にはバレエをやるために進んだのですか。
「ダンス専攻で行きました。バレエだけではなくいろんなダンスを勉強したくて、それから沖縄の外には何があるのかな? って、いつも想像したり考えたりしていました」
●最初にアメリカに行った時の印象を教えてください。
「何もかも、しにでか〜い!! と思いました。特にスーパーマーケット。初めて入った時には、ベースにいる感じがして、『ここにあるもの何でも買っていいのかな?』って、思いました。(笑)アメリカンスクール時代のクラスメートはIDカードを持っていて、ベースの中でショッピングできたんですけど、自分は普通のウチナーンチュだったので、いつもうらやましかったんです。そのトラウマですかね?」
●最初からニューヨークにいたのですか。
「一年はバージニアの大学に行きました」
●アメリカでの生活にはすぐに慣れましたか。
「慣れる? う〜ん、どうでしょう。今でもホームシックになるし、ゴーヤーチャンプルーがでーじ食べたくなるので。慣れるっていういうのは、我慢しながらどうにか頑張るっていうことなんでしょうかね。そうであればまだまだ全然慣れてませんね」
●ミュージカルをやってみようと思ったのはいつ頃ですか。
「ニューヨークに行って1年以上経ってから、ある日突然、『歌も踊りもできるなら、じゃぁミュージカルはどうよ?』って思いました。やっぱりニューヨークだし。ニューヨークと言えば、ブロードウェイミュージカルですからね。
オーディションの広告に『フラワードラムソング』のワークショップの応募を見た時に、アジア人が必要と書いてあったので、これは絶対行きたいと思いました」
●ブロードウェイはオーディションの連続だと聞きます。ストレスはないですか。
「やっぱりありますね。オーディションでは自分のベストを出すこと、その後はもう心配しないようにしてます。でもやっぱり、すごくやりたい仕事があると、電話がなるたびにドキドキします。ショービジネスでは、アクターは自分が商品なので、やっぱりその辺は大変です」
●最初に「マンマ・ミーア」のオーディションに合格されました。その時は、どんな気分でしたか。
「正直言って、その日電話が来た時は、『ふ〜ん、でも、契約書にサインするまでは信じられない』って思ってました。大好きなことをやっているんですが、ビジネスですからね。その少し前にいくつか、ビジネスの上でがっかりすることがあったので。誰も信用できなくなっている時期だったんです。でも、契約書にサインした後は、すごく嬉しくて、ブロードウェイの舞台に立てるんだって、ワクワクしながらリハーサルが始まるのを待
っていました」
●初めてのブロードウェイの舞台の雰囲気はどういう感じでしたか。
「毎日スタンディングオベイション。初めてのパフォーマンスは、『オーこれがスタンディングオベーションか、さすがブロードウェイだ!!』って、思いましたね」
●この場所でずっとやっていけると思いましたか。
「最初の頃は、全然ブロードウェイとか考えていなかったし、トレーニングしてる時やオーディションしてる時は、その時その時で、一生懸命なので、自分自身精一杯頑張ることだけに集中していました」
ある日突然降りてきた幸運。
ブロードウェイの主役に。 |
●「フラワードラムソング」では主役を演じました。その時のエピソードを教えてください。
「その日、午後4時に舞台監督から電話が入って、『結香、主役をやるんだ。30分後に劇場に来てくれ』と言われました。それからはバタバタ状態で、衣裳合わせ、リハーサル、カツラ合わせをやりました。友達は私の口に無理矢理餃子とご飯を押し込みながら、靴合わせとカツラ合わせ、それから台詞の読み返し練習をしていたのを覚えています。
その日はみんなのすごいエネルギーがオフステージそしてオンステージにありました。みんなはいつも自分のことを妹のように思ってくれていたので、すごくサポートしてくれました。自分は一回も通し稽古をしたことがなく、そして主役のメイ・リーの衣裳もありませんでした。本当準備はどの部署もみんなバタバタで8時のパフォーマンスに間に合わせました。あの夜のことは一生忘れません」
●主役としてプレッシャーを感じることはありませんでしたか。
「はい。これはもう仕様がないですね。でも、自分で集中したことは、この物語を素直に自分なりに大切に伝えることでした」
●「フラワー・ドラム・ソング」の後、結香さんの中で何かが変わりましたか。
「人間の持っている力はすごいなって思いました。あの夜、頼れるのは誰がなんて言おうと自分自身でした。自分の底力は、すごいパワーだと」
沖縄では、自分自身を
素直に表現できる歌を中心に。 |
●歌にも挑戦しています。歌をやろうと思ったのはどうしてですか。
「歌は小さい頃から歌っていたので、自分にとって自然の状態ですね。自分の歌を書くのもアメリカに出てからするようになりました」
●歌の魅力はどんなところでしょう。
「ミュージカルはあらかじめ作られた作品で、決まっている役になることが求められます。でも自分の音楽は、自分の言葉で自分のメロディーで自分の歌ですから。素直に本当の自分を出せるので、特別ですね。誰かになりきらなくていい、そのままの自分なので、自分を発見しながらやれるので楽しいです。でも、ミュージカルの演技で無理してるとかではないですよ。音楽は自分自身のプロジェクトなので、いろんな面でクリエイティブになるというのが楽しいみたいです」
●CDを作ったそうですが、どんな作品ですか。
「シングルで『今なら素直になれるよ』というタイトルです。本当にその通りで、今まで経験して、感じ考えてきたこと、そして自分の中での発見を素直に書いた曲です。去年沖縄に来て、帰りの飛行機の中で書きました」
●レコーディングはミュージカルとは随分違ったと思います。難しくなかったですか。
「ミュージカルとポップスの歌のスタイルは違いますね。でも自分はポップスを歌って育ってきたので、自然体で歌えるのがすごく気持ちいいです。
それと、ミュージカルは本番一発勝負ですが、レコーディングは自分が納得いくまでやり直しがきくので、その辺はプラスですね。自分が大切にしたいのは、レコーディングで顔が見えなくても、声だけで気持ちを伝えられるようにすることです。音楽を聴いてもらうだけで、自分の気持ちが伝わればいいと思います。みんなはどう感じるだろうと考えながら、どのテイクも大切に気持ちを入れて歌いました」
●沖縄でのワンマンライブはどんなものになりそうですか。
「オリジナルソングはもちろん、沖縄の人たちにブロードウェイの歌もお持ち帰りして、聴いてもらいたい。楽しいライブになると思います」
●「おきなわ倶楽部」の読者にメッセージをお願いします。
「自分が幸せになれる人生を精一杯生きてください。誰が何て言おうと自分を信じて夢に向かって走っていって欲しいですね。BELIEVE IN YOURSELF
AND FOLLOW YOUR DREAMS!!」
■Profile
たからゆか。那覇市出身。アメリカンスクールに通いながら、5才からバレエを学ぶ。ハイスクール卒業後渡米。「マンマ・ミーア」、「コーラスライン」、「大平洋序曲」など、ブロードウェイの大作ミュージカルに多数出演。「フラワー・ドラム・ソング」では、主役に抜擢される。8月には初のCDとなる「今なら素直になれるよ」を引っ提げて沖縄で凱旋公演を行う。
(「おきなわ倶楽部」2005年8月号より)
|